【TEDから学ぶ】人生で重要なこと|幸せを追うと不幸になる!?
ニューヨークへ留学へ行き1年が経過しようとしています。留学中にはTEDのテキストを使用していました。留学前も何となく名前は聞いたことがありましたが、実際に使用すると英語の勉強だけでなく、生きていく上で役にたつものであるということがわかりました。そこでTEDでプレゼンされている内容をご紹介していきたいと思います。
TEDってどういうことが話されているんだろう?
という方向けにこの記事は書かれています。
なぜTEDを使うのか?
まずTEDとは、正式名称が「Technology Entertainment Desing (テクノロジー・エンターテイメント・デザイン)」と言います。アメリカ・ニューヨークに本部があり、毎年カナダ・バンクーバーで「TED Conference」と呼ばれる大規模な世界的講演会を行っている非営利団体です。
さまざまな分野で活躍するスピーカーが学問からビジネス、ライフハック的なことまでをプレゼンします。時間が1本10分〜15分なので聞きやすいのが特徴です。
無料で利用することができる
気になるところだとは思いますが、TEDは無料でホームページからプレゼン動画を閲覧することができます。また you tube でも全く同じものを見ることができます。
内容が濃い
先ほども書きましたが、さまざまな分野で活躍するスピーカーが、人生観やビジネスまで中身の濃いプレゼンをしています。中身の濃いわりに時間が10分〜15分にうまくまとめられています。
日本で広く言われていることではないので新鮮味があります。書店で本を購入するのと同じくらい良い内容のものがそろっていると思います。
他言語に対応
TEDは英語だけではなく、世界の主要言語に翻訳されています。スピーカーは主に英語で話しますが、字幕で好きな言語に設定できます。もちろん日本語にも訳されていますので英語が苦手な方にも安心です。
人生には幸せより大事なものがある!
今回ご紹介するプレゼンは「There's more to life than being happy」というタイトルのものです。プレゼンターは作家の「Emily Esfahani Smith」という方です。
実際のプレゼン動画はこちらです。(再生時間は12:09)
それではどう言った内容なのかを紹介していきましょう。西洋と東洋ではニュアンスが少し違うかもしれませんが、学ぶべきことは多いと思います。
幸せを求めると
プレゼンターはまず「I used to think the whole purpose of life was pursuing happiness . / 幸せを追求することが人生の目的だと考えていた」と言っています。
そこで「理想の仕事や恋人、豪華なマンションを求めた」と言っています。しかし、満たされるどころか不安や途方に暮れる気持ちが増えていったとのことです。
これは広く当てはまるのではないでしょうか。私もそうですが、目で見てわかるもの、特に人が羨むもの(というか自分が羨むものを。。)を求めてしまいます。それを手にすれば幸せになれると思ってるやつですね。
プレゼンターは大学院でポジティブ心理学を学び、人が何に幸せを感じるかを学びました。そして「幸せを追求すると不幸になりえる」という事実を知りました。
幸せと生きがいの違いは?
現代社会の生活の質は向上しているのに、人々は孤独を感じたり、虚しさを感じています。この理由は、「幸せ」が欠けているからではなく「生きがい」が欠けているからとのことです。では幸せと生きがいの違いとは何なのでしょうか。ここでは下記のように分けています。
- 幸せ:快適で安らいだ状態。現在に充足を感じること。
- 生きがい:最高の自分をより高めること。
「幸せ」という考えに囚われるより「生きがい」を求める方が、より満たされる生き方ができるということです。「生きがい」を持っている人は逆境にも強く、仕事や勉強の成果も良く、長生きするとのことでした。
そして、「生きがい」をえるには、4つの重要な「pillar(柱)」があるとわかったそうです。それではその4つの「pillar」についてご紹介します。
1.Belonging(結びつき)
1つ目は「Belonging(人との結びつき)」が大事だということです。 人が生きる上での1番基本となる部分です。薄い繋がりではなく、愛情のある繋がりが大事とのことです。
当たり前といえば当たり前ですが、一番難しいことでもあります。例えば、会話中にスマホを見て相手に興味を示さないようなことをしたり、挨拶しなかったりと、何気ないことで相手の価値を認めない行為をしてしまうと、プレゼンターは言っています。
愛情のある繋がりができれば、心が晴れやかになります。家族や友人など、この「Belonging(人との結びつき)」が生きがいをもたらす核になるということです。
2.Purpose(目的)
2つ目の「pillar」は「purpose(目的)」です。この目的は、自分のやりたいことを仕事にするといったものではなく、何を自分が与えられるか、つまり自分の強みをどうやって他者のために使うかということを意味しています。「目的を持つことによって、生きる目標が生まれ、人は前進することができる」と言っています。
確かに目的をはっきりさせて、物事に取り組んでいる人はブレないですね。
3.Transcendence(超越)
3つ目の「pillar」は「transcendence / 超越」です。聞き慣れない言葉が出てきましたが、 ここで意味する「超越」とは「日々の喧騒からふと離れて、自我が消え去り、高次の現実と一体となること」と言っています。少しスピリチャルみたいに聞こえますが、「夢中で何かに取り組んでいたり、楽しいことをしていたり、壮大な場所にいたりして気づいたら時間が経っていた」みたいなことだと思います。この「超越」する瞬間が人を変えてくれるそうです。
美術館で絵を見ていたり、教会で礼拝をしていたり、作家であるプレゼンターは執筆しているとこの状態になるそうです。これは人によって違うと思うので、趣味や読書でもいいかもしれませんね。
4.Storytelling(ストーリーテリング)
4つ目は「storytelling / ストーリーテリング」です。これは「自分で自分自身のことを語ること」です。人生の出来事から物語を紡ぐことで物事が明確になり、今の自分に至る過程が理解しやすくなります。過去の事実は変えられずとも、それを編集し、解釈し、語り直すことはできると言っています。
例えば「昔は良かったが今はだめだ」という考えを持っている人は、不安や憂鬱であることが多いそうです。
プレゼンでは「エマカ」というフットボール選手を例にあげています。この選手は優れたプレーヤーでしたが、怪我をしてプレーができなくなりました。この選手は「フットボールをしていた頃はよかったが、怪我をした今はダメだ」という考えに陥っていました。しかし、「怪我をする前は何の目的もなく、自己中心的だった。怪我をしたことでより良い人間になれると気づいた」と、自分の身に起こったことを自分の頭で書き換えたことで、本当の目的を見出します。
心理学者のダン・マクアダムズは、こういった物語の再構築を「redemptive story (取り戻しの語り)」と呼んでいます。生きがいのある人生を送る人は、この「redemptive story」をうまく使う傾向にあるということです。
確かに、自分の身に起こってしまったことを上手く解釈できれば、それに越したことはありませんが、考えを改めるのは難しいのではないでしょうか。
自分の物語の書き換えについて
4つ目の「pillar」について続きますが、どうすれば自分のストーリーを変えられるのでしょうか?
セラピストの力を借りることもできますが、ただ自分の人生をじっくり振り返り、何を失い、何を得たかを考えることで、自分でもできることと言っています。簡単にできるものではなく時間もかかり、時には痛みも伴うものでもあります。
しかし、この痛みを伴う記憶を受け入れることで、新たな洞察や知恵を得ることができ、自分を支えている良い部分を見出すことができると言っています。
つまり、時間がかかっても自分自身をしっかり内観することが重要ということですね。
4つのpillarとコミュニティ
「Belonging(人との結びつき)」、「purpose(目的)」、「transcendence(超越)」、「storytelling(ストーリーテリング)」この4つが生きがいを得るのに重要なことです。
コミュニティには良くも悪くもこの4つが含まれていたりします。ギャングやカルトなどもその一つということです。だからこそ社会の中で良い選択肢を示さなければならず、家族や組織の中にこの「pillar(=柱)」をたて、人がより良い自分になれるよう手助けをする必要があるということです。
個人の働き方が多様化し、オンラインサロンなどコミュニティが発達した現代には重要な考えだと思います。
最後に
最後に、生きがいのある人生を送るには、今この瞬間も自分の物語を形成していることを忘れてはいけないと言っています。そしてプレゼンターの父に起こった出来事を述べています。
幸せは訪れては去って行きます。しかし、人生が本当に充実していれば、物事が上手くいかなくても、生きがいがあることで踏ん張れる、とプレゼンターは述べて締めくくっています。
まとめ
一部日本後では捉えるのが難しいところもありますが、プレゼンターが言いたかったことをまとめると、幸せを求めるよりも、4つの「pillar」=「結びつき」、「目的」、「超越」、「ストーリーテリング」を持って、生きがいを得ながら人生を送ることが大事ということです。4つ目の自分の物語の書き換えについては、プロのカウンセラーやコーチングを行っている人に相談するのもありだと思います。
生活の質が向上しているのに、虚無感を感じやすい現代には重要な考え方だと思います。また、この4つの「pillar」を参考にコミュニティーを見つけたり、運営したり、また今所属しているところを見直してみてはいかがでしょうか。
呼んでいただきありがとうございました。